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医学部の入試動向

医学部の入試動向

【3年連続、過去最高を更新】
ここ3年の私立医学部入試を振り返ってみると2年前の2002年度の私立医学部一般入試は、前年より5,422人増の51,613人の志願者を集め過去最高の志願者となった。そして翌2003年度も更に5,444人の志願者増となり57,057人の志願者を集め、あっさり過去最高を更新した。又、推薦入試とAO入試を加えた総志願者数でも59,009人と大きく過去最高を更新した。
2年連続で志願者数の最高記録を塗り替えた後だけに、さすがに2004年度(今春)入試では大きな伸びはないと考えていたが、2004年度入試でも一般入試の志願者も、推薦入試・AO入試を加えた総志願者もそれぞれ過去最高だった前年を更に超えてしまった。
今春行われた2004年度一般入試の志願者は結局、2,931人増の59,988人となり6万人まであと一息のところまで来た。一般入試の総定員が約2,250人であるから私立医学部の一般入試では26.6人に1人しか合格できないという極めて厳しい入試であることが分かる。細かく内容を見ていくと2004年度入試から杏林大学で導入されたセンター試験利用方式が1,491人の志願者を集め、同じ様に2004年度入試から実施された昭和大学のⅡ期試験で903人の志願者を集めた。この二つの新たな試験だけで2,394人の志願者を集め、過去最高の志願者数と言っても新たに始まった試験の分だけ志願者が増えたに過ぎない、と考えてしまいがちだが単純にそうとも言えない。確かに新しい試験が導入されればその分志願者は増える。しかし、導入2年目は目新しさもなくなり落ち着きを取り戻しガクンと志願者が減るものだ。2004年度入試で言えば、2003年度に新たに導入された順天堂大学のセンター試験利用方式と東京慈恵会医科大学の前期試験がそれに当たる。この両大学の2年目になる新方式入試での志願者は両大学を合わせて783人の減少であった。新たな試験方式の導入に伴う志願者増と、導入2年目は減少するという現象を勘案すると、2004年度の私立医学部入試では、新方式入試の導入とは別に1,300人程度の志願者増があったと考えられ他学部が志願者を毎年減らし続けるなか私立医学部の底力を示したと言えよう。
又、推薦入試とAO入試を含めた総志願者を見ても、2004年度入試では前年に比べ推薦入試とAO入試でも245人の志願者を増しており総志願者では6万人を突破し、62,185人の志願者を集め2004年度も最高記録を更新した。
18才人口の減少が止まらず、私立大学の約3割の大学が定員割れを起しているという状況を考えれば、私立医学部の突出した人気の高さは驚異的とさえ言ってもいいだろう。
志願者率を見てもセンター試験利用方式では、近畿大学の前期が前年の117.4倍というあまりの高倍率に志願者を3割も減らしたがそれでも84.4倍(84人に1人しか受からない)という高い倍率であったのを始め、杏林大学74.6倍、近畿大学後期51.3倍、獨協医科大学47.6倍と軒並み非常に高い倍率であった。しかし、順天堂大学に限っては「難しい」というイメージが広がり志願者を前年から6割以上減らし9.9倍であったがそれでも10人に1人という状況であった。
センター試験利用方式ではない従来の入試でも近畿大学後期63.0倍、東海大学53.7倍、昭和大学Ⅱ期45.2倍など、どの大学を見ても非常に高い倍率であった。

■2004年度私立医学部志願者数(推薦入試)(人)
2002年度 2003年度 2004年度
岩手医科大 公募 62 62 70
獨協医科大 指定校 56 50 63
埼玉医科大 指定校含 49 43 45
帝京大 公募 564 255 341
東京医科大 公募 110 92 93
東京女子医科大 公募 91 99 81
北里大 指定校 36 45 49
聖マリ医科大 指定校 46 55 37
金沢医科大 AO 102 131 134
公募 69 66 64
愛知医科大 指定校含 35 32 55
藤田保健衛生大 公募 362 366 379
関西医科大 公募 58 77 70
近畿大 公募 183 219 216
兵庫医科大 公募 60 58 81
川崎医科大 公募 98 111 128
久留米大 公募 44 55 53
産業医科大 公募 69 65 65
福岡大 公募 117 99 106
合計 - 2,211 1,980 2,130

■2004年度私立医学部志願者数(一般入試)(人)
2002年度 2003年度 2004年度
岩手医科大 一般 868 1,364 1,680
自治医科大 一般 2,149 2,087 2,015
獨協医科大 一般 1,475 1,547 1,469
センター 1,057 1,010 952
埼玉医科大 一般 2,042 2,240 2,452
杏林大 一般 1,805 1,962 2,315
センター - - 1,491
慶應義塾大 一般 2,189 2,390 2,199
順天堂大 一般 1,980 2,037 1,811
センター - 804 296
昭和大 一般 1,585 1,698 -
Ⅰ期 - - 1,347
Ⅱ期 - - 903
帝京大 一般 2,582 2,937 3,327
東京医科大 一般 2,214 1,600 2,231
東京慈恵会医大 一般前期 - 2,495 2,220
一般後期 2,279 2,070 1,817
東京女子医科大 一般 1,002 1,026 938
東邦大 一般 2,149 2,107 2,340
日本大 一般 2,180 2,340 2,151
日本医科大 一般 1,518 1,604 1,762
北里大 一般 1,718 1,474 1,470
聖マリ医科大 一般 1,978 2,041 1,888
東海大 一般 3,228 3,618 3,490
金沢医科大 一般 1,821 1,695 1,827
愛知医科大 一般 1,789 2,033 2,086
藤田保健衛生大 一般 1,500 1,518 1,536
大阪医科大 一般 1,155 1,118 1,187
関西医科大 一般 1,416 1,526 1,437
近畿大 一般前期 1,145 1,070 1,328
一般後期 583 696 630
C方式前期 344 587 422
C方式後期 71 115 154
兵庫医科大 一般 1,507 1,681 1,746
川崎医科大 一般 1,009 1,077 1,270
久留米大 一般 1,128 1,252 1,496
産業医科大 前期 488 459 433
後期 120 161 136
福岡大 一般 1,539 1,618 1,736
合計 51,613 57,057 59,988


【注目大学の結果】
2004年度入試で試験科目や試験日程の変更、新方式の導入などでその動向が注目された大学の試験結果を検証してみよう。
まず新たに始められた獨協医科大学のAO入試だが定員10名以内に対し最終合格者が2名と大変厳しい入試であった。初年度ということで受験生の準備も不十分であったろうし、大学側も慎重な入学者選抜を行ったということであろう。しかし合格者を見れば、獨協医科大学が望む人物像がはっきりした訳でチャンス有りと考える受験生はチャレンジして欲しい。
公募推薦制を取り入れた愛知医科大学では予告通り、時間をかけて非常に丁寧に面接試験が行われた。受験勉強だけはうまくこなしてきた受験エリートではなく、真に医療人として社会に貢献できる人材を発掘するという大学の意気込みが感じられた。一般入試を含め愛知医科大学の受験を考えている受験生は、とりわけ面接が大切だと覚えておいて欲しい。付け焼き刃は通じない。
さて、センター試験利用方式導入初年度の杏林大学であるが定員20名に対し予想通り1,500人近い受験生を集め、大変厳しい試験となった。ただし、順天堂大学がセンター利用2年目に前年の半分以下、63%も志願者を減らしたことを忘れてはいけない。杏林大学及び順天堂大学のセンター試験利用方式への対応は慎重に考えて結論を出して欲しい。
定員20名でⅡ期入試を新たに導入した昭和大学は、やはり最後の医学部入試ということで難易度は高いと分かっていても903人が出願した。そしてこれも予想通り受験率は90%を下回り(受験率87.5%)113人が欠席した。この傾向は今後も続くだろう。
入試科目が1科目増となるが逆に志願者は増えると予想した兵庫医科大学は、やはり65人、3.9%の志願者増であった。
日程変更により大きく志願者を伸ばすと予想した東京医科大学は、全私立医学部のうち最大の631人、39.4%の大幅増であった。

【2005年度入試展望】
過去最高の志願者数を毎年更新し続ける私立医学部だが、2005年度入試も堅調に推移しむしろ志願者増となる可能性が高い。他学部は18才人口減少のあおりを受け志願者を更に減らすだろうが医学部に関しては志願者減→易化という図式は考えられない。これまで何度も本書で述べてきたので詳細は省くが、私立医学部受験者層を構成する特殊な要因から、ここしばらくは志願者は増えこそすれ、減ることはないだろう。又、医学部全体の難易度だが、今年これまで行われてきた模擬試験を分析してみても他学部に若干易化傾向が見られても医学部は変化がないことが分かる。
さて、各大学ごとに見てみると2005年度入試でも入試方式や入試日程の変更を行う大学がいくつかある。そのなかで注目すべき大学を挙げておこう。
まずセンター試験利用方式入試の新規導入が、帝京大学(定員10名)と藤田保健衛生大学(定員5名)で行われる。センター試験利用方式もここ数年で徐々に導入大学が増えこれで7校となる。以前に比べ目新しさは少ないものの帝京大学と藤田保健衛生大学は、どちらかというと取り組み易いイメージがある。これまで同様、多くの受験生を集めるだろう。特に藤田保健衛生大学は定員が5名と少なく50倍を超えるかなり高い倍率が予想される。気になるボーダーラインだが、その年のセンター試験の問題の難易度にもよるが、両大学ともに得点率85%は確保したいところだ。
この両大学のセンター試験利用方式については「情報に敏感にならなければならない。」いい例である。単にセンター利用の大学が増えただけと考えてはいけない。このふたつの大学の試験科目と配点に注意して欲しい。
まず帝京大学についてよく見てみよう。英語が必須で100点、数学と理科から2科目選択で各100点の計300点満点だ。英語はセンター試験では200点満点だが100点満点に圧縮換算される。英語に苦手意識があっても英語必須でも恐れることはない。そして、特に注目して欲しいのは数学だ。数学ⅠA、数学ⅡBはもちろんだがなんと数学Ⅰ、数学Ⅱも選択できる。例えば必須の英語の他に数学Ⅰ、数学Ⅱを選択してもいいのだ。理科なしで受験することが可能になる。逆に物理ⅠB、化学ⅠB、生物ⅠBのなかから理科2科目を選択して数学なしで受けることも可能だ。そしてなにより数学Ⅰ、数学Ⅱであれば数学A、数学Bを避けることができる。この分野に苦手意識を持つ受験生や、文系出身者で数学の全分野には手が回らない受験生などは受験し易いだろう。実際に受験する場合は他大学のセンター利用方式入試にも出願するかどうかによっても選択科目は変わる。更に過去問を時間を決めて解いて自分はどの科目で一番得点できるのかをつかんでおくことも重要だ。本番のセンター試験では数学Ⅰと数学ⅠAは同じ時間帯に行われるために両方を受験することはできない。当然、センター試験の過去問を一度は解いてみるだろうから、本番と同じ様に実際に解いてみてしっかり事前に作戦を練っておこう。
次に藤田保健衛生大学であるが、ここは国語Ⅰ・Ⅱ(近代以降の文章)が配点100点で必須科目になっている。これまで順天堂大学と近畿大学が国語Ⅰ・Ⅱを選択科目としてきたが、必須科目としたのは藤田保健衛生大学が初めてだ。(産業医科大学を除く。)センター試験では国語Ⅰ・Ⅱは本来200点満点だが100点満点に換算される。しかし、そうは言っても私立医学部志願者には国語に苦手意識を持つ受験生は多い。又、これといった国語の受験対策をしていない受験生も多い。逆に本来文系の受験生はチャンスと考えるだろう。大卒の再受験生では、知らず知らずのうちに国語の力がついているケースも多い。国語では得点を稼げると考えられる受験生は受験を検討するといいだろう。又、藤田保健衛生大学は再受験生も受け入れてくれる。定員5名と非常に狭き門ではあるが、再受験生も受験を検討してみるといい。
次に一般入試の定員が25名減る東海大学を考えてみよう。東海大学は他大学に先駆け1998年から学士編入学試験を行ってきた。これまでに学士編入学した学生は在学中も卒業後も期待どおりの活躍をしているということで2005年度からは更に発展させ、より広く多くの有能な人材を集めるために学士という枠を取り払い一般編入学試験として定員を25名増やすこととした。これに伴い一般入試の定員が25名減ることとなった。東海大学の学士編入学試験はこれまで毎年200名以上の受験生を集めてきたが、今年度から定員が大きく広がり、受験資格も大幅に緩和されることと、英語・適性試験・面接という試験科目を考えると多くの受験生を集めるだろう。
さて、本題の一般入試であるが、定員が25名、約4割も減るというインパクトは大きい。当然志願者も大きく減ると考えるのが普通だろう。しかし東海大学は常に医学教育の最先端を走るという点で受験生の人気も高い。又、試験日程も試験日が2日あり、選べることや前年試験日が重なった東京医科大学と試験日が分かれたことなども考えると案外志願者はそれほど減らないのではないか。そうだとすると難易度としては多少難化するだろう。
最後に入試日程の変更による注目大学を見てみよう。
2005年度一般入試は1月9日(日)の川崎医科大学から始まる。川崎医科大学は例年1月の第2土曜日を1次試験日としてきたが1日遅らせて9日(日)とした。1月9日の試験日は私立医学部では突出して早い。又、センタ-試験前に試験を行うのも川崎医科大学唯一校だけである受験生心理としては、あまりに早い試験日は敬遠したいものだ。例年、私立医学部で一番最初の試験となる川崎医科大学だが、今年は早過ぎると感じる受験生は多いだろう。又、試験会場が倉敷市1ヶ所というのも受けにくいものだ。過去4年、順調に志願者を伸ばしてきた川﨑医科大学だが、2005年度は減少に転じるだろう。
1月22日に順天堂大学と聖マリアンナ医科大学の1次試験が重なった。第一志望校と考える受験生も多い順天堂大学は影響を受けないだろう。そして聖マリアンナ医科大学も志願者数としては目立った影響はないかもしれない。しかし見逃してはならないことは成績上位層は順天堂大学に流れるということだ。特に順天堂大学に合格の可能性を感じている受験生はほぼ確実に順天堂大学を受験する。そうなると表面的な志願者は変わらなくても聖マリアンナ医科大学の受験者から上位層がかなり抜けることになる。ボーダーライン付近には特に多くの受験生が固まるが救われる受験生も出てくるだろう。
前年は他の3大学と同一試験日であった近畿大学だが2005年度は他大学と試験日が重ならず、単独での試験となった。志願者は多少増えるかもしれないが、それをもって難化すると考えるのはまだ早い。近畿大学の前期1次試験日1月30日は聖マリアンナ医科大学、順天堂大学、昭和大学、北里大学の4校で2次試験が行われる。2次試験と1次試験が重なれば、普通は合格までのあと一歩の2次試験を優先させる。つまり近畿大学も志願者が多少増えても他校の1次試験を通った実力のある受験生は試験当日欠席する。ちなみに同日に2次試験を行う4校の前年1次試験合格者を単純に合計すると1,540人になる。前年の近畿大学の志願者が1,328人であるから、その影響は小さくないだろう。
同様のことが翌日1次試験日となる東京女子医科大学にも言える。東京女子医科大学も4校の2次試験日と重なる。
東海大学については前述したが、日程の面から見るとどうであろうか。東海大学は試験日を2日設定しているが合否判定をするために単純な合計得点ではなく各日の試験結果を偏差値化している。つまり受験者の母集団が異なればどうしても有利な日が出てくる。2005年度入試ではそれが2月6日になる。この日は東京慈恵会医科大学、東邦大学、杏林大学の2次試験と重なる。特に杏林大学はこの日一日だけの2次試験日設定なので影響は大きい。2月6日の東海大学では受験者のなかから難関校の1次試験合格者が抜けることになる。よって東海大学を受験するのなら2月6日は受けておきたい。

【医学部合格のために】
全ての大学入試のなかで飛び抜けて厳しい私立医学部入試。この大きく高い壁を乗り越える ためにはどうすべきだろうか。
まず第一に推薦入試・AO入試などをよく研究することだ。特に現役生にとっては、手強い浪 人生のいない戦いとなるケースが多くチャンスは大きい。ただ、試験内容が各大学様々なので 注意して欲しい。
第二に小論文と面接の準備を怠らないことだ。医学部受験は1次試験を通っただけでは意味 がない。2次試験の小論文と面接をクリアして初めて医学部は合格となる。小論文と面接で恐 いのは、「できるつもり」である。自分では、いいと思っていても第三者の目にはそう映らな いケースは非常に多い。必ず私立医学部入試に精通した第三者に見てもらって欲しい。



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