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医学部の入試動向

【4年連続過去最高を更新】
3年連続で過去最高の志願者数を更新してきた私立医学部だが、05年入試でも過去最高の志願者数を更新し、際立った人気振りを示した。18才人口が1992年をピークに減り続けそれに伴い大学志願者も03年度から年々減少を続けている。そしてそれと歩調を合せるかのように他学部は志願者を減少させている。このような環境下で定員割れの私立大学も過去最多の160校にもなり、模試の合格可能性判定に適さない(実質全員入学)BF(ボーダーフリー)ランクの大学・学部が増加するなか私立医学部は年々志願者を増やし05年度は前年より3,552人、5.7%増加しついに6万5千人を越え65,820人を集めた。
 入試種別で志願者数を見ていくと推薦入試では前年の2,130人から1,965人へと165人減少した。これは前年341人の志願者を集めた帝京大学が推薦入試を廃止したためで、帝京大学を除いて考えると109人の増加となる。AO入試も前年の志願者をほんの僅かだが越えた。そして一般入試だが、センター試験利用入試では前年の3,315人ら4,592人へと1,277人増え、従来型の一般入試では56,673人から59,282人へ2,609人増加した。(慶應義塾大学は従来型としてカウント)一般入試全体で考えると前年の59,988人から3,886人増え6万人の大台を越え63,874人の志願者を集め05年度も過去最高を更新し、勢いがとどまるところを知らない状態が続いている。法政大学が12,000人以上、早稲田大学が6,000人以上志願者を減らすなど、他学部が受験生確保に苦労する状況にもかかわらず医学部だけはまさに別格である。これまで機会あるごとに再三述べてきたので詳細は省くが医学部、特に私立医学部の受験者層の特質、構成を考えると私立医学部の志願者が今後も増え続けるかどうかは別にして激戦がしばらく続くのはまちがいない。最近では入試の易化も言われるが、こと私立医学部に限っては当分そのようなことはあり得ないと考えていいだろう。
 さて、推薦入試からもう少し細かく見ていこう。帝京大学が推薦入試を廃止したが、それを除けば試験結果で大きく変化したところにはなかった。これまでの公募推薦制から新たに10校の指定校を公募とは別に設けた東京女子医科大学も公募制推薦では募集人員が指定校に10名移ったため実質倍率は上がったがそれほどの極端な変化はなかった。藤田保健衛生大学でも志願者が28名増えたが、大学を卒業した再受験生が唯一受験可能な推薦入試であることから再受験生が増えたと見てもいいだろう。メルリックスでも人名合格者が出たがそのうち3人は大学卒業者だった。獨協医科大学のAO入試は大学中退または卒業者のみが受験可能な入試であるが、ここも50%近く志願者が増えている。東海大学の一般編入学試験の大変な状況(後述)も合わせて考えると強敵である再受験生が着実に増加していることをうかがわせる。

■2005年度私立医学部志願者数(推薦入試)(人)
03年度 04年度 05年度
岩手医科大 公募 62 70 50
獨協医科大 指定校 50 63 38
AO - 67 47
埼玉医科大 指定校含 43 45 48
東京医科大 公募 92 93 88
東京女子医科大 指定校 - - 8
公募 99 81 72
北里大 指定校 45 49 35
聖マリ医科大 指定校 55 37 56
金沢医科大 公募 66 64 72
AO 131 134 155
愛知医科大 指定校含 32 55 38
藤田保健衛生大 公募 366 379 407
関西医科大 公募 77 70 72
近畿大 公募 219 216 272
兵庫医科大 公募 58 81 79
川崎医科大 公募 111 128 105
久留米大 公募 55 53 51
産業医科大 公募 65 65 86
福岡大 公募 99 106 130
合計 - 1,725 1,856 1,909

一般入試だが、まずセンター試験利用方式では前年804人から296人へと半数以下に志願者が減少した順天堂大学が前年8割増の536人の志願者を集めた。これは前年大幅減の反動と考えていいだろう。逆に近畿大学は前期で3割減、後期で2割減と前後期とも志願者が減少した。近畿大学のセンター試験利用方式は募集定員が前期5名、後期3人と非常に少なく80倍を越える倍率にさすがの受験生も敬遠したようだ。
 従来型の一般入試では帝京大学が1,342人も志願者を増やした。これは試験日が2日から3日に1日増えたためで1,300人も増えたということは帝京大学の受験生は3日ある試験日のうち1日だけの受験ではなく複数日受験している受験生が多いということだ。帝京大学では3日ある試験日の結果を偏差値化して受験日による有利、不利を調整するということはしていない。単純に各科目の素点を合計するだけだ。つまり試験を3日受ければ3日のうち最も高い合計点が合否判定に使われる。日によって問題の難易度が違うのは当然で、だから帝京大学を受験するのであれば複数日受験するのは正しい。ちなみに受験日が2日設定されている東海大学では偏差値化して受験日による有利不利を是正している。
 05年度は旧課程入試最後の年となったが、その影響はどうだったであろう。例年その年度の入試で最後の入試になる埼玉医科大学、昭和大学Ⅱ期、近畿大学後期ではいずれも志願者が増加している。やはり旧課程履修者で、新課程に移行する前に決めておきたいと考えた受験生が少なからずいたと考えていいだろう。

【注目大学の結果】
05年度入試で試験日程の変更や新方式の導入などでその動向に注目すべき大学があったが、その入試結果を見ていこう。
 まず、センター試験利用方式を新たに採用した帝京大学と藤田保健衛生大学が注目された。帝京大学が定員10人に対し815人、藤田保健衛生大学が定員5人に対し367人の志願者を集め、どちらも人気となった。志願倍率も81.5倍と73.4倍でどちらの大学も大変な激戦となった。センター試験利用方式はセンター試験さえ受けておけば、何校にも出願できるので出願しやすいのだが定員が少ないためどの大学も非常に高いレベルで合否が分かれる。従来型の一般入試以上に厳しいという認識を持ってほしい。
 従来型の一般入試では順天堂大学と聖マリアンナ医科大学で1次試験日が重なったが、順天堂大学が志願者を減らした。両大学を考えた場合、受験生は成績上位者を除き難関の順天堂大学よりも少しでも合格の可能性が高いと考えた聖マリアンナ医科大学を優先させたようだ。
 最後に様々な点で注目された東海大学を見てみよう。東海大学では一般入試の定員を25人減らして40人とし、編入学試験の定員を25人増やし40人にすると同時に短期大学や専修学校卒業者にも門戸を開く大きな入試改革が行われた。東海大学は他大学に先駆け医局制度を廃止するなど常に先進的な姿勢を見せてきたが、入試においてもまた独自の動きを見せた。まず編入学試験だが749人もの志願者を集め大学側も予想を上回る出願に急遽試験会場を変更する程であった。メルリックスからも8人が合格したが、大卒11名、大学在学4名と大学在学者からも受け入れ又、文系が3名だったことから文系への差別もないと考えていいだろう。ただ結果として短大、専修学校卒業者からの合格者は全ての合格者のなかにもいなかった。
 一般入試であるが、定員減の影響でこちらはやはり予想通り志願者を大きく減らし、1,052名もの減少であった。そして2月6日は東京慈恵会医科大学、東邦大学、杏林大学の2次試験と重なることに注意するよう述べておいたが東海大学では372名、15.3%もの棄権者が出た。通常棄権者は数%であるが、前記3大学の1次試験合格者が棄権したと考えていいだろう。つまりこの日は成績上位層がゴッソリ抜けたと考えられる。同様のことは毎年繰り返される。受験校を考える際には気を付けたい。
■2005年度私立医学部志願者数(一般入試)(人)
2003年度 2004年度 2005年度
岩手医科大 一般 1,364 1,680 1,835
自治医科大 一般 2,087 2,015 2,262
獨協医科大 一般 1,547 1,469 1,632
センター 1,010 952 1,009
埼玉医科大 一般 2,240 2,452 2,746
杏林大 一般 1,962 2,315 2,282
センター - 1,491 1,466
慶應義塾大 一般 2,390 2,199 2,035
順天堂大 一般 2,037 1,811 1,390
センター 804 296 536
昭和大 一般 1,698 - -
Ⅰ期 - 1,347 1,446
Ⅱ期 - 903 942
帝京大 一般 2,937 3,327 4,669
センター 815
東京医科大 一般 1,600 2,231 1,680
東京慈恵会医大 一般前期 2,495 2,220 2,286
一般後期 2,070 1,817 1,537
東京女子医科大 一般 1,026 938 1,108
東邦大 一般 2,107 2,340 2,335
日本大 一般 2,340 2,151 2,235
日本医科大 一般 1,604 1,762 1,670
北里大 一般 1,474 1,470 1,642
聖マリ医科大 一般 2,041 1,888 1,855
東海大 一般 3,618 3,490 2,438
金沢医科大 一般 1,695 1,827 2,133
愛知医科大 一般 2,033 2,086 2,267
藤田保健衛生大 一般 1,518 1,536 1,855
センター 367
大阪医科大 一般 1,118 1,187 1,389
関西医科大 一般 1,526 1,437 1,606
近畿大 一般前期 1,070 1,328 1,806
一般後期 696 630 947
C方式前期 587 422 282
C方式後期 115 154 117
兵庫医科大 一般 1,681 1,746 1,704
川崎医科大 一般 1,077 1,270 1,275
久留米大 一般 1,252 1,496 1,627
産業医科大 前期 459 433 809
後期 161 136 153
福岡大 一般 1,618 1,736 1,686
合計 57,057 59,988 63,874


【2006年度入試展望】
4年連続で志願者数を更新してきた私立医学部だが、06年度はどうであろうか。これまでの各種模擬試験の動向を見るとそれ程大きな伸びはなさそうだ。旧課程入試最後の年となった05年度で受験を終えた受験生も多く、大学入試受験者数全体の減少を考えれば前年とそう変わらないと考えていいだろう。いずれにしても私立医学部の際立った激戦と難関振りは06年度も変わらない。
 さて、06年度入試は新課程入試初年度ということもあって試験科目の変更、新方式の導入、日程の変更など入試の変更が多く見られる。
 まず推薦入試だが、川崎医科大学がこれまでの公募推薦入試を廃止し新たに定員10名で特別推薦入試を行うこととした。これは将来地域医療を担う人材を養成するためと位置付けられた試験でこれまで1浪までで評定平均値3.8以上としてきた受験資格も撤廃された。いわゆる多浪生が受験できる推薦入試は帝京大学が推薦入試を取り止めてからなかったわけだが、新たに川崎医科大学を受験できることとなった。ただ、1次試験の総合適性試験の内容詳細がはっきりしないので準備はしにくいであろう。獨協医科大学AO入試の2次試験の適性試験や東京女子医科大学推薦入試で出題される適性試験の言語系分野に近いと思われるので準備をするならそのあたりということになるだろう。この川崎医科大学の推薦入試の変更に気付かない受験生は多いと考えられ、検討に値するだろう。
 センター試験利用方式では06年度も新たな導入校がある。大阪医科大学がそれで、定員10名で行われる。この大阪医科大学のセンター試験利用方式はこれまでの導入校と違い、国語と地歴公民の両方が必須となっている。これは国公立併願者の取り組みを狙ったものと考えていいだろう。合格最低点も90%程度のかなり高いレベルになるだろう。一方、センター試験利用方式2年目の帝京大学は80倍を越える志願倍率となったのを見て受験生は敬遠し、志願者はかなり減少するだろう。順天堂大学では前期、後期と2回に分けられることになった。前後期合わせて定員は10名増えるが、試験科目も国語、地歴公民が必須に変更される。大阪医科大学同様、国公立併願者でなければ受験しにくいであろう。志願者は多くなくても難易度の高い争いになるであろう。
 最後に従来型の一般入試だが、新課程入試初年度ということで変更が数多くある。新課程になって最も変化が大きい教科は数学で、この数学での変更が8校である。獨協医科大学でⅢCが追加され、埼玉医科大学、金沢医科大学、愛知医科大学、兵庫医科大学でⅢが追加され藤田保健衛生大学でABCが、近畿大学でBが追加される。また、岩手医科大学ではⅢCが選択から必須に変わった。これにより数学Ⅲなしでの私立医学部受験は帝京大学、近畿大学、自治医科大学の3校に限られ、かなり道がせばめられた。ただこの数学の変更による受験生の動向への影響はあまりないだろう。これだけ多くの大学が一度に変わるとそれはそれで受験生としては受け入れざるを得ないだろう。
 次に試験日程について注目してみよう。06年度最大の注目大学はなんと言っても岩手医科大学であろう。センター試験が1月21日(土)、22日(日)の2日間行われるが岩手医科大学はその直前の1月19日(木)に1次試験を行う。センター試験の前々日が1次試験日と言うことだ。この日程ではセンター試験受験者は受けにくい。特に移動を伴う受験生には負担が大きい。センター試験が重い意味を持つ国公立併願者は余程のことがない限り岩手医科大学は受けてこないだろう。高校で半ば強制的にセンター試験を受験させられる現役生も受けにくい。岩手医科大学は毎年1次合格者を500名程度出す。これらのことを考えれば岩手医科大学で弾みを付けて以降の入試に気分よく臨むチャンスは大きいと考えていいだろう。
 1月28日(土)に東京慈恵会医科大学、東邦大学、聖マリアンナ医科大学の首都圏3大学の1次試験が重なった。聖マリアンナ医科大学は前年の順天堂大学から相手が変わったが、より高い合格可能性を求める受験者層は前年同様、聖マリアンナ医科大学に出願するだろう。問題は東京慈恵会医科大学と東邦大学だ。東京慈恵会医科大学に合格の可能性を見い出している受験生はやはり同大学を目指すだろう。仮に受験者数に変動があっても実態として難易度に変化はない。一方東邦大学だが、東京慈恵会医科大学、聖マリアンナ医科大学双方に引っ張られる結果、志願者は減るだろう。
 1月29日(日)には昭和大学、北里大学、藤田保健衛生大学、近畿大学の4大学の1次試験が重なった。近畿大学を除く3校は前年も同様に1次試験日が重なっていた。同じ条件の06年度も大きな変化はないだろう。残る近畿大学だが、前年は1次試験日が重なることはなかったのだが一昨年は06年度とまったく同じ3大学と1次試験日が重なっていた。06年度の近畿大学は一昨年の志願者数程度まで減少すると考えていいだろう。

【医学部合格のために】
 医学部入試は大学入試全体から見れば非常に特殊な分野であることをまず認識してもらいたい。例えば私立大学理系の両雄、早稲田大学と慶応義塾大学の理工学部だが、05年度入試の倍率は早稲田大学が3.1倍、慶應義塾大学が2.7倍であった。ちなみに慶應義塾大学で医学部を除くと法学部の6.8倍が最も高い倍率である。10倍を越える倍率が当り前で、20倍以上の倍率も決して珍しくない私立医学部入試をいつも見ている立場からするとなんと楽な入試なんだろうと思わずにいられない。06年度の私立医学部一般入試は総定員2,361人に対し志願者が63,874人でなんと27人に1人という激戦である。3人に1人が合格となる他学部の入試と同じ様に考えてはいけない。
 これだけ厳しい入試なのだからこそ周到な準備が必要だ。06年度入試でも私立医学部29大学のうち19大学で入試に変更があった。更に1年先の07年度入試でも東京慈恵会医科大学の前期日程への一本化、久留米大学の2次試験設定などが予定されている。医学部入試が毎年変化しているなか情報には敏感になってほしい。例えば川崎医科大学推薦入試の変更を知っていて受けないのならいいのだが、後で「そんな入試があったのか」と気付いても遅い。推薦入試は過去問が公表されていないため試験内容を詳しく知らないまま受けたり、面接のやり方や聞かれることを知らないで面接に臨む受験生も少なくないようだが入試で「知らなかった」などと言うことは「落ちても仕方ない」ということと同じ意味だ。推薦入試では適性検査又は適性試験が課せられるケースが多い。しかし、この適性検査・適性試験の内容を知って受験する受験生は少ないようだ。この内容は大学によって様々で実態として一般入試と同じ様な学力試験であったり、SPIやGAB、CABに近いものであったりYG検査やクレペリン検査であったり実に様々だ。なかにはバウム検査を必ず行う大学もあり、知っていて受けるのか何も知らないでいきなり受けるのかでは違いが出て当然だ。面接も同様で個人面接もあればグループ面接もグループ討論もある。面接の手法として受験生にとってやっかいな圧迫面接を行う大学もある。本気で受かりたいのならこれらのことはやはり事前にきちんと調べておくべきである。ただし、情報に敏感になるのと同時に正確であることにも注意してほしい。入試には様々な噂が付きものだが、誤った噂に振り回されることは愚の骨頂だ。インターネットの普及で情報へのアクセスは格段に容易になった。また、高校や塾、予備校に問い合わせるのもいいだろう。早く正確な情報をしっかりと把握し厳しい医学部入試を乗り越えてもらいたい。



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