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総論

2008年度入試動向【総論】

【大学全入時代は2年先に】
 18歳人口の長期に渡る減少が続き、92年をピークに高校卒業者は毎年減少を続け、92年から30%以上も減少している。一方で4年制大学は過去6年で65校もの公立大学、私立大学の新設があり、更に学部・学科の増設も続き、入学定員は増え続けている。今春だけでも8大学が開校し、41学部が新設された。これにより入学定員は9,258人増えている。この様な状況のなか2007年度入試では、ついに大学進学希望者数と入学定員が一致する「大学全入時代」が到来すると言われていたが、大学進学希望者数が予想を上回る伸びを見せたため、「大学全入時代」は2年程度先になるようだ。とは言え、大学入試を取り巻く大きな流れが変わった訳ではなく「選ばなければ、どこかの大学には入れる」という大きな流れは変わっていない。
 このような状況で、受験生が入学を強く希望する難関人気校(学部)と既に定員割れとなっているような、今後ますます易化が進むであろう大学群の2極化が急速に広がっている。大学入試全体としては易化の印象を持ちがちだが、受験生が集中する人気校、人気学部の難しさに大きな変化は見られないのが現状である。
 また、全入時代を迎えるにあたり大きな変化を見せているのが、ここ数年の浪人生の減少である。2004年度入試では13.6万人だった浪人生が、今春の2007年度入試では8.6万人まで減少した。3年間で4割に近い減少である。国公立大学や難関人気私立大学でも推薦・AO入試が増えており、受験勉強で苦労しなくとも入れる大学が増大したことも一因であろう。


【センター試験、志願者増】
 2007年度の大学入試センター試験は55.3万人が出願し、前年より約2千人多い志願者を集めた。これにより過去3年間続いた志願者の減少はいったん止まることになった。内訳を見てみると、現役志願率の上昇に伴い現役志願者が8千人増加した。一方、浪人志願者は前年から6千人の減少であった。また、女子志願者は1.5%増で、現役と女子の増加が浪人の減少を上回った形となった。
 センター試験の結果を全体的に見ると、数学や理科の平均点が下がり、特に理系受験生にとって厳しい結果となった。医学部志望者など理系の成績上位層に大きな影響を与えたであろうことが読み取れる。

■センター試験、志願者数・受験者数の推移(万人)
  2005年度 2006年度 2007年度
志願者数 57.0 55.1 55.3
現役志願者数 42.2 42.6 43.4
既卒志願者数 14.2 11.9 11.3
男子志願者数 33.8 32.4 32.2
女子志願者数 23.2 22.8 23.1
受験者数 52.5 50.6 51.1
受験率 92.0% 91.9% 92.4%

■主な科目の平均点(点)
  2006年度 2007年度 増減
国語(ⅠⅡ) 125.52 109.95 -15.57
英語 127.52 131.08 3.56
数学ⅠA 62.36 54.06 -8.30
数学ⅡB 57.66 48.94 -8.72
物理Ⅰ(B) 73.42 64.42 -9.00
生物Ⅰ(B) 69.60 67.04 -2.56
化学Ⅰ(B) 64.13 61.35 -2.78
世界史B 66.25 67.75 1.50
日本史B 54.66 67.02 12.36
地理B 65.13 58.41 -6.72
現代社会 57.91 50.31 -7.60
倫理 68.74 69.66 0.92
政治経済 61.05 64.41 3.36


【国公立大学の志願者は減少】
 2007年度入試における国公立大学志願者は、前年から1.7万人減少の48.9万人(前年比96.7%)であった。これで4年連続の減少となった。志願倍率も4.85倍となり大学入試センター試験導入後最も低い倍率であった。センター試験の受験者が増加しているにもかかわらず国公立大学の志願者は減少しているが、これは、センター試験の平均点が大きく下がったことにより、国公立大学の受験を断念した受験生が少なくなかったことと、後期日程を行わない大学・学部が増えたことによる後期日程での志願者の減少の影響が大きい。
 国公立大学医学部入試の志願者も上記のような理由から、前期日程では17,092名で前年より1,239名の減少となり(前年比93.2%)、後期日程では13,262名で前年に比べ1,238名(前年比91.5%)と1割近い減少であった。前後期合計では前年の32,831名から2,477名減の30,354名であった(前年比92.5%)。2007年度入試から、新たに弘前、東北、新潟、京都、島根の5大学で後期日程が廃止された。既に後期日程を行っていなかった3大学と合わせて8大学で後期日程の試験がなかった。志願者数は減少しているが、募集枠も減っているため、後期日程医学部は難化傾向にある。尚、後期日程の募集枠を増加させた岐阜大学では前年の224名から2,760名へと12.3倍もの志願者を集めている。

■国公立医学部志願者数(人)
  2005年度 2006年度 2007年度
前期 17,429 18,331 17,092
後期 13,611 14,500 13,262
合計 31,040 32,831 30,354

 人気に翳りが見えていた国公立大学歯学部だが、2007年度入試では前後期を合わせると志願者は3,701名で前年から238名、6.0%の減少であった。前期日程の志願者は2,214名で前年から130名の減少(前年比94.5%)で、後期日程では志願者が1,487名となり前年から108名の減少であった(前年比93.2%)。歯学部の場合は志願者減少の理由はセンター試験の難化だけでなく、歯学部人気の低下という側面もあるだろう。3年前の2004年度入試と比べると848名、18.6%の志願者減でここ数年の歯学部人気の低下が目につく。歯科医という職業が供給過多で、以前に比べて恵まれた職業ではないと言われて久しいが、受験生もそのことを敏感に感じ取っているようだ。

■国公立歯学部志願者数(人)
  2005年度 2006年度 2007年度
前期 2,513 2,344 2,214
後期 1,832 1,595 1,487
合計 4,345 3,939 3,701


【私立大は4年ぶりの志願者増】
 3年連続で志願者を減少させてきた私立大学だが、久々に志願者を増やした。センター利用入試の拡大により大幅に志願者を増やしているが、2007年度入試では一般入試での志願者も増加している。これはセンター試験が厳しかったことにより、国公立大学志願者が私立への出願も増やしたことが影響していると考えられる。しかし、志願者を増やした大学は都市部の有名大学に集中しており、定員割れを心配する大学と安定した人気を誇る大学との2極化は更に進行している。受験生離れが続いていた理工系学部でも2007年度入試では志願者が増加したが、早稲田大、法政大、関西大などの有名大学が志願者を伸ばしたことが大きい。6年制になり前年は志願者を大きく減らした薬学部だが、新たに5大学が増えたにもかかわらず減少傾向は変わらなかった。唯一、慶應義塾大との統合が決まった共立薬科大が前年の2倍を超える志願者を集めたのが目立った。


【2008年度入試展望】
 2007年度入試では学部系統別の動向にやや変化が見られた。これまで少子化の流れの中、堅実な人気を見せていた医療系学部が減少に転じ、理工系学部の志願者が増加に転じた。また、文系では「社会・国際」・「経済・経営・商」学系の学部が人気を集めている。景気回復に伴い、就職状況にも変化が見られるようになり、いわゆる資格系の学部の人気に翳りが見られてきたとも考えられる。今後の動向に注意が必要な点ではある。
 国公立大学では2008年度入試でも後期日程の廃止がさらに拡大する。前期日程への一本化が進むことになり、受験生心理として出願先の選定には慎重にならざるを得ないだろう。また、私立大学では大学・学部・学科の増設、理工系を中心に学部の大規模な改組・再編が続きそうだ。センター利用入試やAO入試の増加も合わせて一段と多様化が進むことになる。大学全入時代を目前にして、大学側の入試改革も活発になってきた。単なる情報収集だけでなく、集めた情報を的確に判断していく能力も受験生に求められている。


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