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入試動向【総論】

2012年度 入試動向【総論】

【志願者微増】
 入試も終盤戦に入った2011年3月11日の東日本大震災は、入試にも少なからず影響を与えた。特に国公立大学では、翌日の3月12日に後期試験を予定していた大学が多く、25大学で急きょ日程を延期したり、大学での試験そのものを取り止め、主にセンター試験と調査書で合否を判定するなど大きな影響を受けた。私立大学でも、例えば大震災の翌日の昭和大学医学部Ⅱ期入試の2次試験が、試験当日に時間が変更になるなど混乱が避けられなかった。その後も東北や関東では余震や交通機関の乱れ、計画停電、放射能漏れなどがあり、受験生が入試だけに集中することができない状況が続いた。また、早稲田大学や岩手医科大学など入学式や授業開始を遅らせる大学も目に付いた。
 さて、その2011年度入試であるが、高校卒業者は100万8千人と前年に比べ6万人以上(5.7%)もの減少となったものの、大学進学率の上昇や併願校増などにより、大学志願者は380万人と前年より4万7千人(1.3%)の増加となった。しかし、大学入学者は61万3千人と前年を6千人(1.0%)下回った。(文部科学省平成23年度学校基本調査速報)


【センター試験は平均点上昇】
 ここ2年、志願者の増加が続いていた大学入試センター試験(以下センター試験)だが、2011年度入試でも志願者は前年に比べ6千人近く増加し、55万9千人が出願し3年連続の志願者増となった。(前年比1.0%増)


■センター試験志願者数・受験者数推移             (万人)
  2009年度 2010年度 2011年度
志願者数 54.4 55.3 55.9
(現役志願者数) 43.1 44.0 44.2
男子志願者数 31.4 31.8 32.1
女子志願者数 23.0 23.5 23.8
受験者数 50.8 52.1 52.8
受験率 93.3% 94.1% 94.4%


 さて2011年度センター試験の試験結果だが、2年続けて7科目合計の平均点が下がり、難化傾向にあったが、2011年度では3年振りに7科目合計の平均点が20点程度上昇した。科目別に見てみると前年は平均点を大きく下げ、理系受験生を嘆かせた数学ⅠA、化学Ⅰ、物理Ⅰはいずれも平均点が上り理系受験生の強気の出願につながった。一方、同じ理系科目でも前年は平均点を上げた数学ⅡBと生物Ⅰ、地学Ⅰはいずれも平均点が下がった。理系科目は、いずれも前年の反動といった動きを見せた。


■センター試験 主な科目の平均点                  (点)
  2010年度 2011年度 増減
国語ⅠⅡ 107.62 111.29 3.67
英語・筆記 118.14 122.78 4.64
英語・リスニング 29.39 25.17 -4.22
数学ⅠA 48.96 65.95 16.99
数学ⅡB 57.12 52.46 -4.66
物理Ⅰ 54.01 64.08 10.07
化学Ⅰ 53.79 56.57 2.78
生物Ⅰ 69.70 63.36 -6.34
地学Ⅰ 66.76 64.30 -2.46
世界史B 59.62 61.46 1.84
日本史B 61.51 64.11 2.60
地理B 65.11 66.40 1.29
現代社会 58.76 61.76 3.00
倫理 68.66 69.42 0.76
政治経済 59.16 58.97 -0.19
(独立行政法人 大学入試センター)


【国公立大学志願者50万人超え】
 志願者数が減少を続けていた国公立大学だが前年、7年振りに志願者増に転じたのに続き2011年度入試でも更に1万5千人(3.0%)の志願者増となった。これにより5年ぶりに50万人の大台を回復した。これはリーマンショック以降の経済状況により受験生の国公立大学志向が続いていること、センター試験の平均点が上がったことなどによる。その中でも2011年度の国公立大学入試の特徴として、後期日程での志願者増が挙げられる。国立大学の後期日程は、そもそも後期日程を行わない大学が増えるなど、その募集定員はここ数年減少を続けている。3年前の2008年度入試と比べても、2011年度の国立大学後期の募集定員は843人減っている。その様な状況下にもかかわらず2011年度入試では国立大学後期の志願者は4,768人(3.0%)増となった。前期も志願者が増えてはいるが、定員6万4千人に対して5,640人増であり、定員1万7千人に対して4,768人増の後期で志願者増が目立つ。尚、公立大学では前期の志願者は1,302人(2.1%)増、後期の志願者は2,640人(5.8%)増と、前期より後期での志願者増の方が1,338人多く、国立大学同様に後期の志願者増が目に付いた。


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 学部系統別に見てみると工学、理学、保健衛生、農水産といった理系学部の人気が目立つ。人気を集めた理系学部であるが、その中でも特に伸びが目立ったのが、医学、歯学、薬学の3系統学部である。医学部は、ここ数年の定員増でチャンスが広がったという認識が受験生に浸透したところにセンター試験の得点が伸びたことが受験生を後押しした。歯学部は歯科医師の過剰感から志願者を大きく減らしていたが、前年から人気は回復傾向となっていた。文系学部は教員養成系の伸びが目立った以外には、大きな動きはなかった。
 さて、国公立大学医学部について、少し詳しく見てみよう。2008年度入試から医師不足解消のための定員増が行われ、これまで合計915人の定員増が行われた。定員が増えても医学部が最難関学部であることに変わりはないが、受験生としては、多少なりともチャンスの広がりを感じているようだ。ただ、この定員が増えた分が全て一般入試に振り向けられているわけではない。地域枠推薦入試やAO入試に定員を振り向ける大学も少なくなく、単純に考えてはいけない。日程別では前後期ともに志願者増となったが、前期が定員3,567人に対し、1,289人(7.5%)の志願者増、後期は定員675人に対して志願者1,581人(12.5%)増となり後期での伸びが目立った。最後に、福島県立医科大学では、前年いなかった医学部の入学辞退者が14名いたことを付け加えておく。


■国公立医学部志願者数                       (人)
  2009年度 2010年度 2011年度
前期 17,040 17,177 18,466
後期 12,651 12,693 14,274
合計 29,691 29,870 32,740


■国公立歯学部志願者数                       (人)
  2009年度 2010年度 2011年度
前期 1,575 1,610 1,731
後期 1,166 1,197 1,344
合計 2,741 2,807 3,075


【「安全・地元」志向の私立大学】
 私立大学の志願者は前年から3万2千人(1.0%)増えて321万人となった(日本私立学校振興・共済事業団調べ)。しかし、志願者数の上位を占める早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、立命館大学などの都市部の人気私立大学は軒並み志願者を減らし、志願者数の上位10校中8大学で志願者減となった。これは、確実に大学生になりたいという受験生の「安全志向」と経済的負担の大きい都市部の大学を避け、住み慣れた地元に残りたいという「地元志向」の表れと考えられる。
 また、いわゆる定員割れの私立大学は572校中5校増え223校となり39%の大学で定員を満たすことができなかった。
 尚、私立大学の医学部、歯学部については次ページ以降で詳述する。


【2011年度入試展望】
 2012年3月卒業の高校生数は、今年度に比べ1万人程度の減少が見込まれ、100万人の大台を割りそうな状況にある。経済状況の急激な回復も難しいと考えれば、大学志願者の増加は無さそうである。また、ここ2年続いている国公立大学志向は変わらないだろう。
 そんな中、2012年度入試で注意しなければならないのは、センター試験の変更である。国公立医学部では「地歴・公民」で2単位科目の倫理などの選択が出来ない大学が多く、受験生の負担は増すことになる。また、センター試験の時間割変更に伴ってセンター試験で理科3科目を課すことが出来なくなるので、センター試験で理科3科目を課している大学は、2次試験と合わせて理科3科目を維持するのか、理科は2科目に変更になるのか、「地歴・公民」の扱いとともに十分な注意が必要になる。


 >岩手医科大学  : 医学部Selection~医学部入試・医学部受験情報~




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